事業認定の名義変更とな?
さて、電力会社に電気を無駄に垂れ流しつづけている私が売電収入を得るには、いったい何をすればいいのでしょうか。
仲介業者に渡された書類をいろいろ見ていると、「新日本住設」という会社から私宛への書類にこう書いてありました。
「この度、太陽光発電設備が取付されている住宅を譲り受けるに伴って、経済産業省へ登録されている事業認定(太陽光登録データ)の名義変更をご希望とお伺いしているのですが、申請の際、必要となる以下の書類を、経済産業省へ提出する必要がございます。」
「名義変更をご希望とお伺いしているのですが」とありますが、ご希望した覚えはありません。
名義変更が必要ということすら知らなかったです。
どうやらこの新日本住設という会社は太陽光発電の会社で、前のオーナーさんはこの会社から設備を購入し設置したようです。
そして前のオーナーさんは事業認定登録というものをしており、その名義変更が必要なのでしょう。
そしてそれには、経済産業省に書類を提出する必要がある、ということで、仲介業者さんが段取りをしてくれていたのだと思います。
でもなんだか、とてもめんどくさそうですね。
そうまでして、売電収入を得る必要があるのでしょうか。
そもそも、売電といっても、実際いくらで電気が売れるんでしょう?
なぜか安い九州の売電単価
とりあえず、太陽光発電の売電単価をネットでいろいろ調べてみました。
しかし、あまりよくわかりませんでした。
わかったのは、
- 色々な会社が電気の買取をしている
- 地域によって買取単価が違っており、九州だけなぜか安い
例えばENEOS Power という会社は、九州以外のエリアでは10円/kWhもしくは11円/kWhで買取しているのに、九州エリアだけ7.5円/kWhとなっています。
他の地域と比べると結構な差があるため、九州で売電する人は損ということになります。
7.5円ということは一日10kWh売電しても、たったの75円にしかなりません。
今時75円ではジュースも買えないじゃないですか。
ただで電気を垂れ流すよりもましですが、手続きもめんどくさいしモチベーションが上がりません。
しかし膨大な住宅ローンが残っている私には、少しでも家計の足しになるのであれば、めんどくさくてもやるしか選択肢が無いのです。
事業認定の名義変更に必要な書類
事業認定の名義変更でも、人によって必要な書類は違うのかもしれないですが、私の場合は以下が必要でした。
- 事業譲渡証明書
- 委任状
- 土地・建物の【屋根/屋上】の無償使用に関する同意書
- 印鑑証明書のコピー
- 住民票のコピー
- 登録情報記載のお願い
- 再生可能エネルギー発電事業に係る関係法令手続状況報告書
事業譲渡証明書
これがメインの書類だと思いますが、内容は、前のオーナーさんと私との間で、発電した電気を電気事業者に供給(売る)する事業を譲渡することに合意することを証明する書類です。
なるほど、太陽光発電で作られた電気を売るということは、たとえ個人であっても事業になるんですね。
だからこの書類が経済産業省に認められれば、前のオーナーさんが行っていた事業が私が譲渡されるということになるのでしょう。
委任状
何の委任状かというと、経済産業省への今回の手続きを、新日本住設さんに委任します、というものです。
おそらくですが、経済産業省への手続きがとても複雑で、慣れている専門業者でなければ難しいのでしょう。
委任状を書くことで、手続きを私の代わりに行ってくれるということのようです。
新日本住設さん、ありがとう!
土地・建物の【屋根/屋上】の無償使用に関する同意書
これは何かというと、事業が譲渡されたにも関わらず、建物や設備の持ち主がまだ変更されていない場合に、太陽光発電を行う屋根や屋上を無償で使用していいですよ、という書類です。
私の場合、事業譲渡より前に引き渡しは住んでいるので不要だったかもしれませんが、一応書いて送りました。
印鑑証明書のコピー、住民票のコピー、登録情報記載のお願い
あとは印鑑証明書や住民票のコピーと、「登録情報記載のお願い」という連絡先や住所を書くだけの書類です。
特に説明するほどのものではありません。
再生可能エネルギー発電事業に係る関係法令手続状況報告書
よくわからない書類ですが、令和5年度より経産省から設備設置場所の土地に関わる法令について問われているらしいです。
設置場所の土地と言われても、普通の住宅地なのですが。
これは名前だけ書けばいいということだったので、名前を書きました。
書類の説明は以上です。
ということで、このような書類を書いて新日本住設さんにおくりました。
あとはよしなにやってくれる?はずです。
スクリーンショット
書類を送ってしばらく経つと、新日本住設さんから、経産省へ申請中であること証明するためのスクリーンショットが送られてきました。
どうやら、名義変更について経産省の承認が降りるまでには数か月かかるばあいがあるらしく、電力会社と売電の手続きをする際に、このスクリーンショットを電力会社に提出することで手続きが可能になるようです。
ということはこれで私も電力会社と売電契約ができるということでしょうか。
どこと契約すればいいのか
ここでまた疑問なのが、私はこれからどうやって、どこの電力会社と売電の契約をすればいいのでしょうか。
もちろん、単価が高いところと契約すべきだと思うのですが、各会社によって、細かいサービスや条件の違いがあるようです。
単価に関しては九州はどこも似たり寄ったりで、九州電力が7円/kWhで一番安いのですが、先ほどのENEOS Powerでも7.5円なのであまり変わりません。
もっと単価の高い会社もありますが、あまり聞いたことが無いような会社だったりちょっと不安です。
しかも、九州電力は毎月振込されますが、ほかの会社は半年に一度など、支払条件が劣っていたりします。
多少売電できたとしても金額はたかが知れているし、うちは電気を沢山使うので売電するほど電気が余るかどうかもわかりません。
とりあえずサービス重視ということで、なんとなく会社が安心できそうなENEOS Powerの「ENEOS太陽光買取サービス」に申し込んでみることにしました。
申し込みに失敗し、やる気を失う
ENEOS Powerのホームページから申し込んでしばらく経つと、書類が届きました。
さっそく契約できたのかと思って見てみると、そうではありませんでした。
どうやら申し込み時の私の入力に足りない項目があったらしく、なんとかIDを申込書に書いて返送するよう、書いてありました。
「うわ、めんどくさいな。」
ホームページでの入力だけならともかく、紙の申込書にどうやって調べたらいいかもわからないIDを記入して郵送する、というのは私には無理でした。
たった7.5円の売電に対してそこまでのモチベーションが無かったのです。
そのため私は、ENEOS Powerからの書類をそのまま放置したのでした。
九電送配サービス
ENEOS Powerへの売電申し込みに失敗してやる気を失った私は、売電をあきらめて電気をただで上流に垂れ流す(逆潮流)日々を過ごしていました。
するとある日、「九電送配サービス」という所から書類が届きました。
中身を見ると、
「再生可能エネルギー発電設備より発生する電気を当社へ売電ご希望の場合は、以下の書類の提出が必要となりますので、ご案内いたします。」
とあります。九電からの売電契約の案内の様です。
提出に必要な書類としては以下となっていました。
- 再生可能エネルギーからの電力販売に関する申込書
- 電力系統への発電設備の連系に関する申込みについて(FIT認定設備用)
- 国への申請の事実を確認できる画面(写し)
一度はやる気を失っていたものの、せっかく九電から案内が来たので、画面のスクリーンショットもあることだし、やはり申請だけはしておこうと思いました。
そこで申込書に記入して、九電送配サービスに返送したのでした。
驚きの事実
そしてまたしばらく電気を垂れ流していたところ、ある日九電送配サービスから電話があり、電気の買取を開始した、とのことでした。
これでようやく我が家も売電が始まったということで、一安心です。
そして何日か後に、九電送配サービスから書類が届きました。
中身は、
「再生可能エネルギー発電設備からの電力受給契約のご案内」
ということで、契約内容について書かれていました。
そしてなんと、驚きの事実が判明したのです。
なんと買取単価は7円/kWhではなく、18円と書いてありました!
18円だと当初想定していた7円よりも10円以上高い金額です。
それがあと固定買取期間終了までの数年間続くというのです。
一体どういうことでしょうか。
FIT
つまり、前のオーナーさんが申請していたFITという、電気を通常よりも高い金額で買い取ってくれる制度が、私が譲渡された太陽光発電設備に今でも紐づけられており、売電契約を九電と結ぶことで再会されたということのようです(推測)。
FITって聞いたことはあったのですが、自分には関係ないと思っていたのでぜんぜん気にしていませんでした。
それが実は、事業譲渡された私も引き継ぐことができるとは・・・
これはもしかしたら、ENEOS Powerとの契約に失敗したたのはものすごくラッキーだったのかもしれません。
私はたまたま運がよかったですが、これ普通の人は絶対わからないと思いますよ。
私も九電送配サービスと契約するまで、まったく想定してませんでした。
絶対みんな、あせってENEOS Powerと契約してしまうと思います。
やはり何事も仕組みを知っておくというのは、非常に大事だと改めて思いました。
しかし太陽光発電で売電できるようになるのって、とても大変ですね。